地域の小売店は何を売っていけばいいのか?


地域の小売店は何を売っていけばいいのか? - 商店街・地域 活性化 - 地域の元気が日本を変える!中小企業診断士の大場保男です。

私は平成4年から今に至るまで
25年間にわたって、商店街や地域の活性化に取組んできました。

その間に、私が経験したこと、見たり聞いたりしたこと、
教えてもらったり、学んだことを

商店街や地域の活性化に少しでも
お役に立ちたいという想いから記事を配信しています。

10年近く前に買った松尾匡著「商人道ノススメ」
今回、再読してこんなに良い本だったかと驚きました。

石田梅岩の石田心学や近江商人たちの商人道
その根底にある考え方は、解放個人主義原理
中心に置かれた価値は「他人への誠実」

その対極にある考え方が、身内集団原理
境界のある集団内部での人間関係を重視し
中心に置かれた価値は「身内への忠実」

今こそ、解放個人主義原理に貫かれた
商人道を復活させるべきだと説いています。
ぜひ、一読されることをお勧めします。

さて、今回のテーマは
「地域の小売店は何を売っていけばいいのか?」です。

レタス1玉から墓石まで…

家庭にいながらクリック一つで
レタス1玉から墓石まで買うことができ、配達までしてくれる。
だから買物にネットを利用する人が急速に増えています。

経済産業省が発表した
2016年度のネットを利用した買物金額は
15兆1,358億円で、前年に比べて9.9%の伸び
小売市場全体の5.43%に達しているそうです。

商店街の店主の人たちと話すと
最近は、街を出歩く人が昔に比べたら
かなり減ってしまった。ネットで買物する人が多くなったからだろう
という声をよく聞きます。

将来的には、小売りの20%が
ネットでの買物になるだろうという予測もあります。
こうなったら、街はどうなってしまうのでしょうね。

パンは嫌いだけど、あんたから買うよ!

小田原でパン屋をやっているTさん
定期的に朝市をやっています。
Tさんと朝市に来たお客様との会話です。

現在はお店を辞めて、お一人で暮らしているそうですが
とてもお元気なあるご年配の女性

あんた達、このことろ朝から寒いのにご苦労さんだね~
若いのにね~頑張っている姿を見てたら、買わずにいられないよ!

いゃ~買っていただかなくても
朝市に来ていただいて、お話しするだけでも私たちは嬉しいですよ!

何言ってんだよ!そんなことできないよ
わたしゃ、パンは嫌いだけど、人にあげるから…

来ていただいただけでも嬉しいのに、とてもかっこいい女性でした。
嬉しさのあまり、黒糖のパンをお家に届けたら

これサービス
サービスと言うか、とにかく食べてもらいたくて…
そうけ、ありがとよ!寒いけど、頑張りなよ

だから朝市は楽しい、嬉しい!
クセになる!

いかがでしょうか。
この会話の中に、これからの小売店が
目指していく方向性があるように思います。

「まちゼミ」も「バル」も「100縁商店街」も…

自分はパンは嫌いだけど、
Tさんからパンを買っていく。
Tさんはいったい何を売っていたのでしょうか?

もちろんパンを売っていたのですが
パンとともにTさんという“人”を売っていたのです。

“人”や“人柄”、これを通しての触れ合いや交流
これはネットや大型店では販売することはできません。

今、マーケティングの世界では
“人柄マーケティング”という言葉が注目されています。
商品や情報を販売する前に“人柄”を売りましょうというマーケティングです。

商店街活性化の三種の神器と言われている
“まちゼミ”も“バル(神奈川県ではちょい飲み大会”も
“100縁商店街”も、商店主という“人”を売っています。

“まちゼミ”では
生活に役立つ情報を伝えていく中で
店主という“人”を売っています。

“バル”も新規に来店したお客様に
コミュニケーションを通して、店の従業員や
店主という“人”を売っています。

“100縁商店街”も、100円の低価格商品を
来店のきっかけとして、店主とお客様との“ご縁づくり”を行っていく
つまり、ここでも店主という“人”を売っているのです。

今回は以上です。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

【発行者】        経済産業大臣登録中小企業診断士  大場 保男
E-mail:yasu-obs@gc4.so-net.ne.jp       Tel.090-5521-7427