商店街を地獄に導く三原則とは?


商店街を地獄に導く三原則とは? - 商店街・地域 活性化 - 地域の元気が日本を変える!中小企業診断士の大場保男です。

私は平成4年から今に至るまで
24年間にわたって、商店街や地域の活性化に取組んできました。

その間に、私が経験したこと、見たり聞いたりしたこと、
教えてもらったり、学んだことを

商店街や地域の活性化に少しでも
お役に立ちたいという想いから記事を配信しています。

先日の日曜日、横浜市栄区の
新大船商店街で夏まつりを実施しました。

神奈川新聞に予告記事が大きく掲載され
問合せ先が私の携帯になっていたので
「場所はどこですか?」という電話が何本かありました。

新大船という名が付いた商店街ですが
大船駅からはバスで20分ほどの交通が不便な場所にあります。

約40店中、半分以上が空き店舗という
シャッター通り化している商店街ですが
20年ほど前までは、買物客で賑わっていました。

83歳の商店会長が
その当時やっていた夏まつりを20年振りに
復活させたいというので、今回の企画になりました。

県内各地から30店が出店し
地元の商店街からの出店と合わせて
約40店が通りに並んだ様は壮観でした。

午後4時のスタート時は客数もボチボチでしたが、
時間とともに客数が増え、終了の午後8時までには約5,000名の
来場者で賑わい、商店街の人たちも大変喜んでいました。

さて、今回のテーマは「商店街を地獄に導く三原則とは?」です。

まちづくりの大御所である石原武政先生の言葉!

「地獄に導く……」、何とも過激な言葉ですよね。
もちろん私の言葉ではありません。
まちづくりの大御所と言われている石原武政先生の言葉です。

石原武政先生は、次のように述べています。

「まちづくりが形式的な平等主義になっては何も進まない。
全員参加、全員一致、負担の平等は商店街を地獄に導く三原則である。

一番底辺に合わせるのではなく、
まちに思いを入れ、まちを引っ張っていく
温度の高い人たちを少しでも多く作り出していく。
主体づくり、仲間づくりとは、まさにこのことである」

前段の2行だけを読むとビックリしてしまいますが
後段の4行を読むと、納得!という感じですね。

合意を得るのに8割以上のエネルギーが割かれてしまう!

商店街で何かをやろうとする場合
全員参加、全員一致を求めても、徒労に終わります。

会合に全員参加などは現実にはあり得ません。
さらに、商店主たちは一国一城の主ですから
色々な意見をもっており、全員の意見が一致することも
めったにあり得ません。

商店街には、2:6:2の法則があると言われています。
何かやろうという場合、賛成する人が2割
反対する人が2割、残りの6割が賛成でも反対でもないというのです。

反対の人を説得して賛成にまわってもらうよりも
どちらでもない6割の人に賛成してもらうように説得する
この方が効率的だと言われています。

いずれにしても、商店街活動において
何かをやることよりも、その前の合意形成に
8割のエネルギーを割かれてしまうと
多くの商店会長たちが嘆いています。

同じ金額の商店会費を払っているのだから
何ごとも平等に!という意識が強いのも商店街です。

そうなると、商店街活動に消極的な店主
に合わせるようになってしまい、活動は低調になってしまいます。

商店街の活性化は、熱い思いを持った商店主たちが引っ張っていく!

多くの商店街が衰退化していく中で
数は少なくても、元気で活気のある商店街はあります。

そんな商店街のリーダーたちは
例外なく、街に対する熱い思いを抱いています。

しかし、そのリーダーが役員をやめた場合でも
その後を若手のリーダーが引き継いでやっていけるように
今のリーダーが現役のうちに若手を育てていくことが求められます。

ハード整備に当たり、まず掘り炬燵を作った商店街

ソフト事業なら全員一致でなくてもやっていけますが
アーケードの整備やセットバックなどのハード事業は
全員の意見が一致しないと事業が前に進みません。

関西のある商店街では
ハード事業を行うにあたって最初にやったこと
それは商店街事務所の中に堀炬燵を作ったことです。

堀炬燵で互いに膝を交えてじっくり話し合う
時には、炬燵を囲んで酒を酌み交わす
とにかく、みんなで根気よく話し合う

こんな場を作って合意形成を図っていったというのです。
ですから、ハード事業は時間が掛ります。

どんなに困難な状況の中でも
どんなに時間が掛ってもみんなをまとめていく
こんなリーダーが求められているのです。

熱い思いで引っ張っていくリーダー
根気よくみんなをまとめていくリーダー

このような人活かし、街活かしに
努力しているリーダーを、ある人は
街商人(まちあきんど)と呼んでいます。

今回は以上です。

最後までお読みいただきましてありがとうございました。

【発行者】        経済産業大臣登録中小企業診断士 大場保男
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