こんにちは
中小企業診断士の大場保男です。
私は平成4年から今に至るまで
26年間にわたって、商店街や地域の活性化に取組んできました。
その間に、私が経験したこと、見たり聞いたりしたこと、
教えてもらったり、学んだことを
商店街や地域の活性化に少しでも
お役に立ちたいという想いから記事を配信しています。
実家が沼津だったので
子供の頃は、よく連れていってもらった熱海
駅を降りると、湯煙りがもうもうとしていた記憶があります。
毎年やっている中学3年のときの
クラス会も熱海での実施が多くなっており
私にとって熱海は身近な存在です。
(写真は、熱海軽便鉄道で使われていたSL)

そんな熱海はだいぶ前から
衰退してしまって、「熱海もおしまいだな…」
という会話がよく交わされていました。
ところが、その熱海の宿泊客数が
V字回復して、復活しつつあるというのです。
なぜあの衰退化した熱海が…と
復活した秘密が日経流通新聞に出ていたので
ご紹介し、私自身も勉強したいと思います。
「熱海銀座商店街」の空店舗が10店から2店へ
商店街を歩いて、空店舗がどのくらいあるかで
その地域が衰退しているかを判断する場合が多いですね。
熱海の場合もかつては空店舗が目立っており
街の中心部にある「熱海銀座商店街」でも
10店あった空店舗が、今は2店に減少しているそうです。
新しく開業したゲストハウスや
カフェが軒を連ね、活気に溢れた街になり
観光客の満足度も高まっているようです。
それに伴って、熱海の宿泊客数も
平成23年には250万人を切っていましたが
平成28年以来、3年連続で300万人を超えました。
起業や働きたい若者を増やすことで活気が生まれる!
「平成30年7月、熱海銀座にあるビル
20~30代前半の若者ら17人が熱海での
新規事業の議論を交わしていた。
熱海での起業を目指す若者ら向けに
1泊2日で開催された“スタートアップキャンプ”
主催したのが、machimoriだ。
machimoriの市来代表取締役は
“熱海で起業や働きたい若者を増やすことで
活気が生まれるだけでなく、地域を活性化する事業も創出できる”と語る。
平成23年に創業したmachimoriは
“創業支援プログラム99℃”や
“リノベーションスクール”を開催し、熱海での起業支援に取り組んできた。
これまでに介護タクシーやツーリズム関連の
新規ビジネスが生まれたほか、
ケータリングサービスも準備中という」
このように紹介されているmachimoriの活動
補助金だけに頼らずに、資金は自ら
稼ぐことで持続的な街づくりに取組んでいるとのことです。
資金づくり、人材の育成も自分たちで…
商店街や地域の活性化には
国や自治体の補助金に頼るケースが多いのですが
補助金は交付期間が過ぎると財源がなくなってしまいます。
まさに“カネの切れ目がエンの切れ目”
長期的な視点に立った街づくり事業には
補助金だけに頼らずに、自ら資金を稼ぎ出す必要があります。
machimoriは、ゲストハウスの運営や
ビル管理などの事業を手掛けており
年間1億円の売上げを確保しているそうです。
12人の正社員やインターンシップ、
アルバイトのスタッフを雇用しています。
安定した収益があるからこそ、
街づくりを担う人材の確保や育成に取組むことができるのです。
関係者が同じ目線で街づくりに取組む
自ら資金を稼ぎ出すからといって
彼らだけで街づくりが進めているわけではありません。
街づくりには、行政や商工会議所、
商店街が同じ視点で取組むことが不可欠です。
そのためには、将来の街づくりに向けて
どのようなビジョンを描くかを明確にし
それを関係者全員で共有することが必要です。
私自身、こんな経験がありました。
「観光客を増やして、もっと地域を活性化しよう」
というテーマで地域住民を交えて意見交換会を実施しました。
そこで出たある地域住民の意見
「観光客が増えても、ゴミや騒音が
増えるだけで、地元には何のメリットもない」
このような経験を通して、私自身
街づくりには、地域住民の理解と共感が欠かせないことを痛感しました。
熱海の街づくりでは、観光客だけでなく
住みやすい地域づくりという視点を重視しており
介護タクシーなどのように、地域住民の利便性も考えられています。
街づくりの関係者として地域住民は不可欠な存在ですが
地域活性化の美名のもとに、最も肝腎な地域住民が忘れられてはなりません。
何よりの必要なのは、場づくりとチャンスづくり
熱海の復活には、machimoriという
街づくりの資金確保や人材育成を
担う組織が大きな役割を果たしています。
しかし、自分たちの地域には、そんな組織はないし…。
かと言って、諦めるわけにはいかない…。だったら、どうしたらいいのか?
私は2つのものが必要だと思っています。
その一つは、自分たちの地域をどうするか?と話合う場づくり
その場には、よく言われるように、“若者”“よそ者”“ばか者”の3つが必要です。
中でも必要なのは、熱く熱く
街づくりについて考え、語り、行動する“ばか者”の存在です。
ある商店街が地域活性化のために
最初にやったこと、それは商店街事務所に堀コタツを作ったこと
この商店街、まずは話合う場を作ったのです。
そこでは、何人もの“ばか者”が熱い議論を交わしたことでしょう。
必要なもののもう一つは、
熱と意気がある人材が起業できるチャンスづくり
彼らに、起業できる場所やノウハウを提供すること
かつてはデパートがあったという商店街
衰退化してしまったためにデパートが撤退
すると、ますます衰退に拍車が掛かり空店舗が増えた。
その結果、店舗の家賃が下落
そうなると、お金をあまり掛けられない若者や女性が
出店できる物件が多くなり、そこに新しい店が次々に起業
そこには、今までにはない
面白い店が多い新しい顔を持った商店街が出現した。
空店舗の存在は、衰退化の象徴
でも、逆に考えるならば、そこに大きな伸び代ができたことになります。
街づくりについて話合う場づくり
そして、起業のチャンスづくり
この2つについて、私自身も考えてみたいと思います。
話は変わりますが、熱海にある来宮神社
飲酒による災難除けのご利益があるそうで
「酒難除け」のお守りが売っているそうです。
酒を飲む機会が多い私も
お詣りに行こうかなと思っている次第です。
今回は以上です。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
【発行者】
経済産業大臣登録中小企業診断士 大場 保男
E-mail:yasu-obs@gc4.so-net.ne.jp Tel.090-5521-7427