客に興味を持つことが商売の第一歩
中小企業診断士の大場保男です。
私は平成4年から今に至るまで
24年間にわたって、商店街や地域の活性化に取組んできました。
その間に、私が経験したこと、見たり聞いたりしたこと、
教えてもらったり、学んだことを
商店街や地域の活性化に少しでもお役に立ちたいという想いから
このブログを配信しています。
先週、中学のクラス会で帰った静岡県沼津市
仲見世商店街に、こんな看板が立っていました。
静岡県で一番元気な商店街
沼津仲見世商店街(振)
実際の商店街は所々に空き店舗があり
私が子供の頃のような活気はありません。
では、あの看板は?
“元気だった”という過去形の間違いなのか?
それとも、“元気だった”頃の看板を掲示しているのか?
不思議な想いを抱きつつ
“若かった”クラスメイトに会いに行きました。
さて、今回のテーマは
「客に興味を持つことが商売の第一歩」です。
私は、なぜ売れないセールスマンだったのか?
今から30年以上前
化粧品会社にいた私は化粧品のセールスをやっていました。
セールス鞄に化粧品を詰めて、一軒一軒訪問販売です。
まったく売れないダメなセールスマンでした。
なぜ売れないのか?
玄関に出て来る客に興味がなかったのです。
客に興味を持てば
「どちらの化粧品をお使いですか?」とか
「乾燥肌の方ですか?」と相手に質問を投げ掛けることができます。
そこから会話の糸口がつかめます。
しかし私は、自分が持っている商品の
ことしか意識していません。
だから「間に合っています」と言われれば
「また、お願いします」を繰り返して帰ってくるばかりです。
これでは売れるわけがありませんね。
100人以上の顧客の好みがすべて頭の中に入っている店主
コーヒーメーカーの仕事で
ある喫茶店を取材したときのことです。
その店の店主は
顧客の顔と名前が一致するだけでなく
コーヒーの好みがすべて頭の中に入っています。
だから、席についた顧客が黙っていても
その顧客の好みの味のコーヒーを出すことができます。
その数は100人以上にのぼります。
「すごい記憶力ですね!」と驚いて問い掛ける私に対して
「記憶力は良くも悪くもありませんよ」と淡々と答えました。
「では、なぜ?」と問うと
「お客様に興味を持つと、自然に頭の中に入って来るのです。
覚えようとしたことはありません」との答えでした。
客に興味を持つことが商売の第一歩
何かの本で、イトーヨーカ堂の
実質的な創業者である伊藤雅俊さんが
このように言っていることを読んだことがあります。
客に興味を持てば、客の姿や生活が見えてきます。
だから、それに合った商品やサービスを提供しようとします。
アパレルの店の店主に
こんな話を聞いたことがあります。
その店主、商品を仕入れに行ったとき
これはあのお客様に合う商品だなと
一人ひとりのお客様が目に浮かぶそうです。
その顧客が来店すると
「あなたにぴったり合うと思って仕入れて来たの」
と、その商品を紹介します。
客に興味を持たなければ
こんなことは出来ません。
500人の顧客の顔と名前が一致しないと店長になれない!
アメリカの流通業の視察に行った日本の商業者たち
あるスーパーの店先で非常に驚いたそうです。
スーパーの入口に買物カゴを持った店長が
一人ひとりの顧客の名前を呼んで挨拶している姿を見たのです。
このスーパーでは
500人の顧客も顔と名前が一致しないと
店長のなれないのだそうです。
スーパーと言えば
安売りで客を集めていると考えがちですが
このスーパーでは、顧客の一人ひとりの生活を見ており
それぞれの時期に、それぞれの時間帯に
顧客の生活に合わせた品揃えをしているのです。
顧客の生活が見えていれば
POPで何を訴えれば良いのかが明確になります。
そうすると、POPのコピーが顧客の心に響くのです。
客に興味を持つ
そうすると、客が求めるものが分かるようになる。
それが品揃えにつながり、情報発信につながる。
伊藤雅俊さんは、
このようなことを言いたかったのかも知れません。
客に興味を持てずにダメなセールスマンだった私が
彼に胸のうちを考えてみました。
今回は以上です。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
【発行者】 経済産業大臣登録中小企業診断士
大場 保男
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