「“まちゼミ”はセミナーではない!


中小企業診断士の大場保男です。

私は平成4年から今に至るまで
24年間にわたって、商店街や地域の活性化に取組んできました。

その間に、私が経験したこと、見たり聞いたりしたこと、
教えてもらったり、学んだことを

商店街や地域の活性化に少しでもお役に立ちたいという想いから
このブログを配信しています。

15年前から始まった「まちゼミ」
今では全国260か所で実施されており、
14,000店が参加しています。

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今週の月曜日(11月7日)に
「まちゼミ」発祥の地である岡崎から
松井洋一郎さんを講師に招いて「まちゼミ」のセミナーが行われました。

川崎市役所が実施した
このセミナーを聞きに行って来ました。

そこで今回のテーマは
「“まちゼミ”はセミナーではない!」です。

10店舗からスタートした岡崎の“まちゼミ”

岡崎と言えば徳川家康ゆかりの地
そのため、歴史のある老舗が多いのが特徴

しかし、郊外に大型店が出店してきて
閉店が相次ぎ、800店以上の店が500店になってしまいました。

代々続いた歴史のある店を
自分たちの代で閉鎖してはならない

イベントをはじめ、各地の商店街で
行われている様々な事業を実施したけど
売上げや本業には直接つながらない。

そこで始めたのが“まちゼミ”
参加店10店舗、参加客190人からスタートしました。

15年後の今では
参加店150店、参加客4,000人の規模に成長しました。

あらためて“まちゼミ”とは何か?

“バル”、“100円商店街”と並んで
商店街活性化の3種の神器と言われている“まちゼミ”
そもそも“まちゼミ”とは、どのような事業でしょうか?

商店街の店主が講師となり
自分の店を会場にし、
5人程度という少人数のお客様を対象に
生活提案をしたり、その店ならではの
体験してもらう集まりです。

例えば、川崎大師まちゼミでは
米屋さんが「初めてのぬか床づくり」
そば屋さんが「そばとなぜか?ワインの話」
パン屋さんが「オリーブオイルでパンを食べる」

“まちゼミ”でやってはいけないことがあります。
それは、商品を販売することです。
売り込もうとすれば、お客様は引いてしまいます。

その場で販売しなくても
参加したお客様は後から来店して商品を買っていくのです。

再来店して商品を買う人の比率は約3割だと言われています。
ここで、商売につながるわけです。

“まちゼミ”はセミナーではない!

“まちゼミ”とは、
店主が講師となって店内でセミナーを実施し
お客様の生活に役立つ情報を伝えること

このような考え方が一般的です。

しかし、松井洋一郎氏は“違う”というのです。

彼曰く
“まちゼミとは、セミナーではない
コミュニケーション事業である”と。

セミナーならば
一度に多くのお客様を集めてやった方が効率がいいでしょう。

しかし、“まちゼミ”はコミュニケーション事業だから
少人数で実施しているのです。

“まちゼミ”とは
店主とお客様とがコミュニケーションを通して
新しい関係を作っていくことが目的である。

そして、店主という“人”を売っていく事業である
というのです。
彼のこの言葉が非常に印象的でした。

コミュニケーションから
生まれる関係性創造型ビジネス

西麻布のビルの2階にある「kiso bar」
普通だったら入りにくい立地の店ですが
ここが今、西麻布の新名所になっているそうです。

この店、1階の入口に黒板POPが設置されており
店主の木曽さんが毎日書いています。

“昨日は六本木のケバブ屋のスタッフの方がいらっしゃいました。
新しい出会いに感謝!!
オープンして1ヶ月!!
木曽真輔(38)神戸出身です。
お気軽にどーぞ!!”

黒板POPで良くあるのが
“7時までにご来店のお客様、生ビールが半額です”
というようなものです。

木曽さんの黒板POPとどこが違うのか?
店主の年齢や出身地が分かります。
新しい出会いに感謝しているというあたたかい人柄も伝わります。

つまり、思い切って“個”が出ているのです。
“個”を出すことによって、道を歩いている人と
コミュニケーションをしているのです。

“まちゼミ”と黒板POP
全然違うものですね。
しかし、そこには共通点があります。

それは、双方とも
“コミュニケーションから生まれる
関係性創造型ビジネス”ということです。

これからの個店のあり方を示しているように思います。

今回は以上です。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。
【発行者】        経済産業大臣登録中小企業診断士
                      大場 保男

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